HTMLの公式仕様はLiving Standardを参照
現在、HTMLの公式仕様はW3Cではなく、WHATWGが策定する「HTML Living Standard」の仕様書が公式規格となっています。
かつてはW3CがHTMLの仕様を決めていましたが、現在は組織間の合意によりWHATWGの「HTML Living Standard」に一本化されています。
■WHATWG
(Web Hypertext Application Technology Working Group、ワット・ダブリュー・ジー)
WHATWGは、主にHTMLのWeb標準を策定している組織です。AppleやGoogle、Mozilla、Microsoftなどの主要なブラウザ開発企業が中心となって結成されました。常に最新の状態へ更新し続ける「Living Standard」のスタイルで仕様を管理しています。
■W3C
(World Wide Web Consortium、ダブリュー・スリー・シー)
W3Cは、主にCSSをはじめとするWeb技術を標準化する国際的な非営利団体です。CSSのほか、アクセシビリティやセキュリティなど、多岐にわたる分野でWeb標準を策定しています。
当ホームページ内には2008年頃のコンテンツも多く、当時はW3Cが仕様を策定していたため、参照先もW3Cとなっていることもあります。
けれども、以下の経緯により、2019年以降、W3CはHTML仕様の策定を終了したため、今後の最新情報はWHATWGのHTML Living Standardを参照することをおすすめします。ただ、CSSやアクセシビリティなどに関しては、現在でもW3Cが仕様を策定しています。
W3CからWHATWGへ一本化された経緯
当初はW3CがHTMLの標準化を主導していましたが、ブラウザ開発側との対立により、独自の組織「WHATWG」が誕生するに至りました。
W3Cの「XHTML路線」とブラウザ側の反発
1999年に「HTML 4.01」を策定した後、W3CはHTMLの進化を止め、より規格が厳格なXMLベースの「XHTML」へと移行しようとしました。 しかしながら、XHTMLは過去のHTMLとの互換性を切り捨てており、わずかな記述ミスでもエラーで表示されなくなるなどWeb開発者やユーザーにとって不便なものでした。
そのため、2004年にAppleやMozillaなどのブラウザ開発者たちは、後方互換性を保つ現実的なHTMLの進化をW3Cに提案しました。しかしこれが拒否されたため、彼らは独自の組織である「WHATWG」を設立しました。
W3Cの方針転換と共同策定
実用的な機能を求める世界中の開発者たちは、次第にWHATWGを支持するようになりました。その結果、W3CのXHTMLは現場に普及しないまま開発中止に追い込まれました。
そのため、2007年にW3Cは方針を転換し、WHATWGが策定していた仕様をベースとして取り込み、これを「HTML5」として両者で共同策定していくことになりました。
思想の違いによる再分裂
一旦は共同開発を始めたものの、規格の管理方法を巡って再び意見が対立します。W3Cは特定の時点で仕様を凍結し、「HTML 5.0」のようにバージョン番号を付けて確定版を出すという従来の標準化プロセスを重視していました。
一方、WHATWGはブラウザが日々アップデートされる実態に合わせ、仕様を固定せず常に更新し続ける「Living Standard(リビングスタンダード)」方式こそ現実的であると主張しました。このLiving Standardは、バージョン番号を持たず、常に最新のブラウザ実装と整合するように仕様書を継続的に更新し続ける思想です。
この結果、2012年頃に両者は再び決裂し、W3C版とWHATWG版という、微妙に異なる2つの標準仕様が並行して存在する事態となり、開発現場に混乱を招きました。
WHATWGへの一本化と現在の状況
この二重標準の状況下において、実際にブラウザを開発しているWHATWG側の仕様が事実上の世界基準となっていきました。
W3Cがどれほど理想的な仕様を作っても、AppleやGoogleなどの主要ブラウザがそれを実装しなければ意味がありません。最終的には、現場の実装権を持つブラウザベンダーたちの連合であるWHATWGが優勢となりました。
そして2019年5月、ついにW3CとWHATWGは覚書を締結し、以下の内容で合意するに至りました。
- W3Cは独自のHTML仕様の策定を終了する
- W3CはWHATWGが策定した仕様を公式勧告として扱う
- HTMLとDOMの仕様策定はWHATWGに一本化する
これにより、名実ともにHTMLの主導権はWHATWGへと移譲されることになりました。
上記の経緯により、現在のHTMLの策定はW3Cではなく、WHATWGが主導しています。一方で、W3CはCSSやアクセシビリティ、セキュリティといった周辺分野に注力することで、両者は良好な協力関係を築いています。
そのため、今後、最新のHTMLの公式仕様を確認する際には、W3CではなくWHATWGの「HTML Living Standard」を参照することをおすすめします。